イベント紹介
ホーム > 報告 > ロボット技術で高齢者・障がい者の生活支援に貢献

ロボット技術で高齢者・障がい者の生活支援に貢献

開催日:
2013年11月 9日
開催地名:
兵庫県公館 大会議室
開催住所:
兵庫県神戸市中央区下山手通4−4−1

詳細

 

大阪産業大学の教授・在学生・OBが連携したロボット技術による高齢者・障がい者生活支援への取り組み

 

今回の取材は本学の教授・在学生・OBそして海外の恩師がロボット技術を通じての交流の様子をご紹介します。
DSC_0104.jpg

左から 本田雄一郎、陳 隆明、ティム・ルーツ、          中村秀正、入江 満(敬称略)

DSC_0003.jpg

兵庫県公館

 

 平成25年11月9日(土)兵庫県公館 大会議室にて、「新たなる技術が切り拓く未来」と題して、兵庫県、(社福)兵庫県社会福祉事業団主催による兵庫県立福祉のまちづくり研究所創設20周年記念式典・シンポジュウムが開催されました。

 兵庫県立総合リハビリテーションセンターは、一つの敷地内に特別養護老人ホーム、救護施設、職業能力開発施設、多機能型事業所、障がい者支援施設、自立生活訓練センター、肢体不自由児療護施設、障がい者スポーツ交流館、中央病院、福祉のまちづくり研究所といった施設が集積された全国唯一のすばらしい組織です。中でも、福祉のまちづくり研究所はリハビリテーション機器の開発をはじめ、建築物、住宅、交通機関、道路、公園等の分野ごとに研究テーマを設定し、研究開発を行い、その成果の発表や政策提言を行い、行政や企業における福祉のまちづくりの推進支援を行っています。

 riha-center.jpg

社会福祉法人 兵庫県社会福祉事業団 総合リハビリテーションセンター パンフレットより

 式典は野村真波さん(バイオリン奏者:ロンドンパラリンピック水泳日本代表)によるすばらしいウエルカム演奏で始まり、主催者・来賓挨拶では兵庫県知事、社会福祉法人兵庫県社会福祉事業団理事長、兵庫県議会代表の挨拶が行われました。

DSC_0024.jpg

 第1部の記念講演は「兵庫県立福祉のまちづくり研究所の創設の思い ~そして未来へ~」と題して、兵庫県総合リハビリテーションセンター創設に尽力され、現在、兵庫県立リハビリテーション中央病院名誉院長をされておられる澤村誠志先生の、当センター開設から今日に至る経緯を交えての信条を記念講演でお聞きしました。

ノーマライゼーション原理からインクルージョンへ そして ソーシャルインクルージョンの形成

「誰もが排除されない暖かく支え合う地域社会を作っていきたい!」

誰もが心豊かに、生き生きと、

安心して、

住み慣れた地域で、

住み続けることができる

社会の形成

 

兵庫県立リハビリテーション中央病院 名誉院長 澤村誠志 DSC_0032.jpg

皇太子殿下、美智子妃殿下ご訪問の様子

 第2部シンポジュウムの基調講演では「医療ナビゲーションシステムと生活支援ロボット技術の未来」と題して、ミュンヘン工科大学機械工学部学部長のティム・ルーツ教授からドイツの先端医療ロボット技術による手術の様子や、3Dプリンターで短時間に患部の模型を作成し、手術前のシュミレーションを行う方法など、未来の外科手術へのロボット技術の活用など、実際の手術の様子などをスライドを用いて詳しくご説明いただきました。

ミュンヘン工科大学機械工学部 学部長 ティム・ルーツ DSC_0058.jpg

未来の手術室(モニターに映し出されるロボットによる手術)

  第2部 パネルディスカッション 

「ロボットリハビリテーションの今後の展開」

DSC_0098.jpg

 chin.jpg

陳 隆明 座長

兵庫県リハビリテーション中央病院 ロボットリハビリテーションセンター長

神戸大学大学院医学博士

 2007年より神戸大学大学院客員准教授。医師として主にリハビリ医療に携わり、義肢装具の臨床や研究に従事している。現在、大学や研究所、さらに企業と連携して、最先端ロボットテクノロジーを駆使したリハビリの推進と臨床・介護現場のニーズに合致した真に必要なロボット機器や技術の開発に取り組んでいる。

 hirukawa.jpg

 比留川 博久 パネリスト

独立行政法人 産業技術総合研究所 知能システム研究部門長

 1987年通商産業省工業技術院・電子技術総合研究所制御部入職、1995年同知能システム部主任研究官。2001年(独)産業技術総合研究所知能システム研究部門ヒューマノイド研究グループ研究グループ長。2004年同副研究部門長を経て2009年から現職。ロボット技術に関する委員を歴任。「出口を見据えた基礎研究の推進」を基本運営方針とし、アウトカムの社会的有用性の精査を前提に、知能情報処理・ロボティクスに関する技術の中長期的基礎研究を推進している。

 tuji.jpg

 辻 敏夫 パネリスト

広島大学大学院 工学研究院 電気電子システム数理部門教授

 1985年広島大学工学部助手、1994年同助教授を経て、2002年広島大学大学院工学研究科教授、改組に伴い2010年から現職。巧みで高度な生体機能に興味を持ち、そのメカニズムの特徴を理論と実験の両面から工学的に解明するとともに、生体メカニズムにヒントを得た新しい医療機器、障がい者支援システム、生活支援ロボットなどの開発を行っている。また2005年頃から兵庫県立リハビリテーション中央病院ロボットリハビリテーションセンターと医工連携研究に取り組んでいる。

 irie.jpg

 入江 満 パネリスト

大阪産業大学 工学部 電子情報通信工学科教授 情報科学センター長

 2002年に三菱電機から大学に移籍し、工学部長・工学研究科長を経て現職。生活支援・ヘルスケア分野における臨床と工学の「医工連携」及び大学と地域、ものづくり企業との「産学連携」を推進し、高齢者・障がい者生活支援のためのロボット技術の研究に取り組んでいる。現在、兵庫県立総合リハビリテーションセンターにおいて「普及型電動義手の開発」を共同で実施している。専門はオプトエレクトロニクス。

 honda.jpg

 本田 雄一郎 パネリスト

兵庫県立福祉のまちづくり研究所 兼務 ロボットリハビリテーションセンター 特別研究員

 トイツ国ベルリン工科大学医療技術研究所へ留学し電動義手の研究を行い、ベルリンフンボルト大学附属シャリテ病院にてMRI装置中で動作する生体組織検査ロボットの開発を行った。その後、ミュンヘン工科大学マイクロ技術・医療機器技術講座にて生体信号計測技術や無線通信技術の応用開発に従事。2013年より現職。

(大阪産業大学 H5年度工学部電気電子工学科卒・H7年度大学院工学研究科電気電子工学専攻:OB紹介第19弾でご紹介)

 入江教授はものづくりの観点から、従来では義肢装具が高額で、しかも障害者にも負担が大きかった装具の製作過程を、障がいを持った児童の成長に合わせ頻繁に作り替えることが難しかった装具を、3DCAD、3DCGデータを基に造形する3Dプリンターを使って短時間に、そして従来に比べると格段に安価に作ることが出来る技術の開発に取り組んでいます。大阪産業大学の特色でもある「ものづくり」に、立地的に恵まれた、優秀な技術を持った中小企業の集積地である東大阪の企業との「産学連携」を視野に発表をされていました。

 本田さんはドイツ留学の経験を生かし、医療現場のニーズを汲み取り、障がい者のリハビリに少しでも役立つ「ものづくり」に情熱を注いでおられます。また、本田さんが一番大切にされておられることは、「人と人のつながり」ヒューマンリレーションシップであると仰っておられました。基調講演をされたルーツ教授は本田さんの恩師であり、努力してドイツ留学のきっかけを得たのは「ふるさと」大阪産業大学です。そして、現在入江教授と共にロボット技術を通じて高齢者・障がい者の生活支援に貢献しておられます。

DSC_0087.jpg DSC_0095.jpg
DSC_0050.jpg

中村 秀正 (電子情報通信工学科 4回生)

大阪産業大学 入江研究室

大阪産業大学 ロボットプロジェクト

展示中の電動義手は中村さんが1日で制作されたそうです。 本田さんの恩師、ティム・ルーツ教授も感心されておられたそうで、ドイツ留学を進められたそうです。今後の活躍が楽しみな在学生です。本田さんの信条、人と人とのつながりで彼の世界が広がった瞬間だったと思います。

DSC_0013.jpg DSC_0012.jpg

 ※パネリスト紹介:兵庫県立福祉のまちづくり研究所創設20周年記念式典・シンポジュウム パンフレットより引用

   
       (取   材:事務局長 宮本芳文)
      (取材・編集:広報事業部 森本 勉)

ぺージの先頭へ戻る